RESEARCH AREA 研究・関連施設

研究

当科は、手術室麻酔・集中治療・ペインクリニック・産科麻酔と4つの柱からなり、研究もそれぞれの部門で活発に行っています。さらに、部門を超えた協力も進展しています。

宮尾秀樹名誉教授:加温加湿器、輸液の研究

  • 加温加湿器の研究は、世界をリードしISO国際規格決定にも参加しました。
  • HES(Hydroxy -ethyl Starch)の研究と努力により、今後の日本の周術期輸液プラクティスに変化が起きようとしています。輸液や輸血に関する最新文献を紹介するWorld Literature Reviewを編集されています。

川﨑潤教授:血液凝固の研究

  • トロンボエラストグラフを用いて、抗血栓療法の新しい効果判定法(日欧米の国際特許取得)を生みだしました。さらに、血小板機能の測定における新しい研究に着手するなど、この領域の第一人者です。トロンボエラストグラフの各ポイントでの血小板や血栓の形態を電子顕微鏡で捉えた鮮やかな研究は、IARSのBest paperに選ばれました。最新のトロンボエラストグラフの機器であるROTEM sigmaを使用した研究もおこなわれています。臨床においても、特に当院心臓外科手術・生体肝移植手術において積極的に使用されており、研究の知識が生かされています。

小山薫教授:救急蘇生法の啓発・ICU領域の研究

  • BLS、ACLS、PALS 講習会を定期的に開催、もしくはインストラクターとして参加されています。救急蘇生法の啓発のため、日本中を駆けまわり、社会的に大きな責務を果たしています。近年では、日本麻酔科学会における術中心停止アルゴリズム作成委員としてワーキンググループに参加されています。
  • 専門であるICU領域において、イオン化マグネシウムの予後予測因子としての有用性の検討や心臓外科術後の腎機能障害予測因子についての研究を行っています。

照井克生教授:日本有数の産科麻酔科を主宰

  • 産科麻酔のトップランナーとして、日本だけでなく世界的な権威の先生です。
    近年は、妊婦死亡原因の第一位である産科出血の対応ガイドライン作成に尽力されました。その中で、妊婦死亡につながる大量出血に対応すべく、防衛医科大学の研究部の先生方とともに人工赤血球の実用化に向けた研究を行っています。当院、結城由香子先生が申請した「妊娠家兎を用いた危機的産科出血に対する人工酸素運搬体投与による救命効果の研究」は2019年度の科学研究費補助金を獲得しました(基盤C)。
  • ガイドライン作成委員として、「産科危機的出血への対応指針2017」のほか、「心疾患患者の妊娠・出産の適応,管理に関するガイドライン(2018 年改訂版)」、「NICUにおける新生児の痛みのケアガイドライン」の改訂に協力しています。

鈴木俊成准教授:血管内皮グリコカリックスの研究

  • 大量出血手術において、HES製剤の凝固、腎障害に関する有用性を示す研究をはじめとして、腹部大手術でグリコカリックス損傷マーカーのsyndecan-1とheparan sulfateを測定し、HESとアルブミン製剤の2群間で比較する研究を行い、周術期におけるHESの有用性を検討しています。

川崎洋平客員准教授:統計部門

  • 千葉大学医学部附属病院のデータセンター統括責任者として活躍されていますが、2018年10月より当院麻酔科客員准教授として定期的に当院に訪問いただき、研究計画の段階から相談にのっていただいています。
  • 生物統計家の先生はオオサンショウウオに例えられるほど、非常に希少な存在です。今後、RCTを行う際は必須の存在ともいわれており、相談できる環境を持っている当院麻酔科の大きな強みといえます。

東洋医学部門

  • 全日本鍼灸学会などの研究助成金を獲得した上で、東洋医学外来の鍼灸師の先生方により、鍼治療を用いたRCT・後ろ向き研究が多数行われています。
  • 麻酔科の研究でも積極的に参加いただいています。近年では、松田祐典助教(現在トロントマウントサイナイ病院に留学中)により「鍼治療により帝王切開術後のくも膜下モルヒネ投与後の掻痒感を軽減できるか?」についてのRCTが行われ、英語論文化されました。
  • 今後も鍼治療にて、術後嘔気・嘔吐を中心とした不快な症状を軽減できるかどうかの検討を行う予定です。

研究室:研究部の協力

  • 院内に麻酔科専用の研究室があり、研究部の研究員の方の指導の下、ELISA法を用いた血中濃度測定を行うことができる環境が整っています。最近では、「レミフェンタニル投与中のグリシン血中濃度の変化」において、グリシン血中濃度測定を行い、現在論文作成中です。今後は、ビタミンC濃度測定の研究を予定しています。

研究留学先

  • ボストン小児病院麻酔科(指導者:結城公一准教授)
    • 田澤和雅助教:2016年8月~2018年7月
  • トロントマウントサイナイ病院
    • 松田祐典医師:2017年1月~

若手の指導

  • 現研究主任である加藤崇央助教を中心に月一回研究カンファレンスを行い、若い教室員の研究内容の確認・指導・助言を行い、研究を進めています。当科の若い教室員は、これらの上級医指導の下で、忙しい診療の傍ら学会発表や論文執筆に日々取り組み、学位取得を目指しています。

過去5年間の業績(英文論文)

  • Mazda Y, Kikuchi T, Yoshimatsu A, Kato A, Nagashima S, Terui K: Acupuncture for reducing pruritus induced by intrathecal morphine at elective cesarean delivery: a placebo-controlled, randomized, double-blind trial. Int J Obstet Anesth 2018; 36: 66-76
  • Mazda Y, Tanaka M, Terui K, Nagashima S, Inoue R: Postoperative renal function in parturients with severe preeclampsia who underwent cesarean delivery: a retrospective observational study. J Anesth. 2018; 32: 447-451.
  • Tanaka H, Matsunaga S, Yamashita T, Okutomi T, Sakurai A, Sekizawa A, Hasegawa J, Terui K, Miyake Y, Murotsuki J, Ikeda T: A systematic review of massive transfusion protocol in obstetrics. Taiwan J Obstet Gynecol. 2017; 56: 715-718.
  • Takeda S, Makino S, Takeda J, Kanayama N, Kubo T, Nakai A, Suzuki S, Seki H, Terui K, Inaba S, Miyata S: Japanese Clinical Practice Guide for Critical Obstetrical Hemorrhage (2017 revision). J Obstet Gynaecol Res. 2017; 43: 1517-1521.
  • Okazaki A, Fukushima R, Nagashima S, Mazda Y, Tamura K, Terui K, Tanaka M: Outcomes of labor epidural analgesia among women aged over 40: A single-institution retrospective study. J Obstet Gynaecol Res. 2016; 42:1712-1718.
  • Wang L, Matsunaga S, Mikami Y, Takai Y, Terui K, Seki H: Pre-delivery fibrinogen predicts adverse maternal or neonatal outcomes in patients with placental abruption. J Obstet Gynaecol Res. 2016; 42: 796-802.
  • Akinaga C, Uchizaki S, Kurita T, Taniguchi M, Makino H, Suzuki A, Uchida T, Suzuki K, Itoh H, Tani S, Sato S, Terui K: Randomized double-blind comparison of the effects of intramyometrial and intravenous oxytocin during elective cesarean section. J Obstet Gynaecol Res. 2016; 42: 404-9.
  • Miyao H; Safety Committee of Japanese Society of Anesthesiologists: Blood transfusion, colloid therapy and the possible saving of albumin volumes during surgery: data analysis of the survey for certified hospitals of the Japanese Society of Anesthesiologists. J Anesth. 2016; 30:384-90.
  • Yufune S, Tanaka M, Akai R, Satoh Y, Furuya K, Terui K, Kanayama N, Kazama T: Successful resuscitation of amniotic fluid embolism applying a new classification and management strategy. JA Clin Rep. 2015; 1: 1