1. TOP
  2. 麻酔科4部門
  3. 手術室麻酔管理部門

OPERATING ROOM 手術室麻酔管理部門

手術室麻酔管理部門は、麻酔科の中で最も中心的な部門で、麻酔科医の基礎を構築するための大変重要な部門であります(麻酔科の本丸)。ものすごく症例が豊富で短期間の研修でバランスの取れた症例を経験することができるため、初期臨床研修医からの人気も高いです。手術室麻酔管理部門は院内の手術室(本館11室)と高度救急救命センターに増設された手術室(新棟5室)と合わせて16室を管理しています。知識と経験を兼ね備えた"才能ある(talented)麻酔科医"の育成が当麻酔科のミッションであり、スタッフはその成長を温かい目で見守り手助けして行きます。

FEATURE 手術室麻酔管理部門の特徴

01

県内唯一の
高度救急救命センター、
総合周産期母子医療センター、
ドクターヘリ基地病院、
小児救命救急センターを兼ね備え、
すべての診療科が揃った
スーパー総合病院

02

年8,800例を超える
手術件数

03

年20%以上が
緊急手術

04

スーパー麻酔科医の
育成に尽力

病院が必要とする麻酔科医師像はどのようなものでしょうか。例えば、外科医は自分の専門外の手術の場合、セカンドオピニオンにより患者さんを他施設へ紹介したりしますが、当科の麻酔科医は専門外の麻酔だからといって他施設で麻酔を受けるように患者さんを紹介することはありません(最後の砦)。当麻酔科医は、患者さんの望むこと、患者さんの状態、外科医のニーズ、病院の方針などを加味しながら、患者さんの安全性保持に全力で務めています。そのためには、幅広い医学知識と確実な麻酔技術、さらに良質な人間性が求められます。また、安全かつ安心できる周術期医療を提供するためには、知識のみならずコミュニケーション・スキルの修得が必須です。当麻酔科では、人としての基本的な姿勢も身につけることができるよう指導していくことを心がけています。いかなる状況にも対応できる「才能ある(talented)麻酔科医」を育成するため、尽力しています。
古い慣習を打ち破りつつも、よき伝統を守るために、常に変化し続ける麻酔科医局であり続けることが、これからの医療に求められます。自分の私生活にももちろん満足し、すべての医局員が幸せな人生を歩むために、可能な限り一人ひとりのニーズに合わせた臨床・教育・教育環境を整備することが、当麻酔科スタッフの使命だと考えています。繰り返しになりますが、患者さんのことを第一に考え、患者さんを献身的に守ることのできる麻酔科医を育てられるよう、レジデントから教授まで一丸となって教育にあたっています。どこに出しても恥ずかしくない立派で頼れる麻酔科医を育てることを常に目標とし実行しています。

手術室麻酔管理部門のサブスペシャルティー

心臓麻酔

他の手術麻酔と異なり外科医と手術部位の視野を共有する機会が多いため、より密なコミュニケーションが必要です。そのためのツールである、経食道超音波検査は今や心臓麻酔に欠かせない重要なモニターとなっています。当院麻酔科でも、最新鋭の3D経食道超音波装置を導入し、綿密な周術期管理を行っています。典型的な安定した心臓疾患症例はもちろんですが、珍しい心疾患、多彩な合併症など重症の症例も沢山あり、基本的な心臓麻酔から、難易度の高い心臓麻酔管理を経験することができます。心臓血管外科とのカンファレンスにも参加し、心臓手術麻酔の中核として診療を支えています。シニアレジデントや若手スタッフは、学会主催のセミナーや他大学との合同勉強会などを通じて、日本周術期経食道心エコー認定試験(JB-POT試験)や、日本心臓血管麻酔専門医の取得を目指して日々研鑽を積んでいます。

小児麻酔

当麻酔科でも新生児の手術麻酔から始まり、多くの小児麻酔を経験し研修することができます。当センターでは、小児救命救急センターを兼ね備え、新生児・小児に関しても珍しい疾患、多彩な合併症など重症の症例もが沢山あり、毎週県立小児医療センターから専門医・指導医が診療に携わり基本的な小児麻酔から難易度の高い小児麻酔管理の知識を学び経験することができます。またさらに専門性の高い小児麻酔の経験や知識を習得するため、県立小児医療センターへ6か月から1年の期間研修することを基本としています。2018年から始まった小児麻酔認定の取得も目指して日々研鑽を積んでいます。

区域麻酔

手術室麻酔管理部門は年間8,800例を超える手術が行われていますが、そのうちの85%以上(7,500件)が麻酔科医による麻酔管理です。当麻酔科では、全身麻酔のみならず、硬膜外麻酔、脊髄クモ膜下麻酔、古くて新しい末梢神経ブロック(peripheral nerve block : PNB)といったありとあらゆる区域麻酔を手術患者さんへ提供しています。

特に超音波ガイド下PNBにも力を注いでいます。周術期の肺血栓塞栓症の予防のため周術期抗血栓療法が推奨されている現在、硬膜外麻酔や脊髄クモ膜下麻酔といったNeuraxial Anesthesiaが施行しづらくなっています。PNBの導入・活用により高齢者に対する全身麻酔や麻薬などの全身的な麻酔薬を最小限にすることにより、患者さんの周術期における安全性向上や認知機能を維持し、良好な予後に貢献することを目指しています。複数の下肢のPNBを組み合わせた下肢手術麻酔や、上肢のPNB、体幹のPNBを小児から成人・高齢者まで幅広く取り入れて、若手・中堅スタッフを中心に質の高い周術期疼痛管理に努めています。シニアレジデントや若手スタッフは、学会主催(当麻酔科でも年1回 埼玉医科大学総合医療センターPNBハンズオンセミナーを開催)のセミナーや他大学との合同勉強会に定期的に参加しています。また日本区域麻酔検定試験(Japanese Regional Anesthesia Certificate Examination : J-RACE、見事合格すればJ-RACER :Jレーサー)を取得し、日本区域麻酔認定医および指導医の取得を目指して、日々研鑽を積んでいます。

術後疼痛管理チーム

当科では術後疼痛管理チームを主宰しています。麻酔科医師、手術室看護師、薬剤師でチームを形成し、対象症例の術後回診を2021年7月から開始しました。2022年9月から術後疼痛管理チーム加算を算定しています。対象症例は術後に持続硬膜外鎮痛、経静脈的自己調節鎮痛(iv-PCA)、および持続神経ブロックを行った患者で、麻酔科管理症例のおよそ1/3に相当します。術後痛や術後悪心・嘔吐の発生頻度の軽減、麻酔合併症の早期発見につながっており、質の高い麻酔を提供することに貢献しています。

高度救急救命センター

当センターは県内唯一の高度救急救命センターで、埼玉県全域から患者さんを受け入れています。さらに日本最大級となる高度救命救急センター新病棟がオープンし、手術室も5室増設となりました。

これにより今や救急救命科による手術は年間で1,000件以上にものぼり、外傷麻酔を中心とした重症麻酔管理を学ぶことができます。そして、麻酔科医がフライトドクターとしてドクターヘリに乗り込み、救急医療も支えるといった選択肢も備えています。急性期医療を学ぶために必要な体制は十分整っていますので、当麻酔科で急性期医療の腕を磨いてください。

さらに、当院脳神経外科では、米国で豊富な臨床経験を積んだ医師を中心として年間400例を超える開頭手術を扱っており、非常に多くの脳神経外科麻酔を行うことができます。低侵襲手術の開発によって、開頭手術の脳神経外科麻酔を学ぶ機会が少なくなっていますが、当院ではその心配は無用です。

その他:特殊な麻酔管理

生体・脳死下肝移植の麻酔管理、生体・脳死下・死体腎移植の麻酔管理、脳血管内治療の麻酔管理、法的脳死下臓器摘出術の麻酔管理、骨髄移植ドナーの麻酔管理、乳房形成手術の麻酔管理など経験することができます。

EDUCATION & TRAINING 教育・研修

日々の麻酔臨床を通じて、麻酔管理のみならず、
一次救命処置、二次救命処置、呼吸・循環・代謝・輸液管理などの全身管理の知識・手技を身につけることができます。
各研修医には、担当スタッフがマンツーマンでつき気軽に相談ができます。
麻酔の知識、麻酔管理、全身管理の基礎が身に付いた後は、
肺外科、心臓外科、小児外科、特殊疾患などの<強化月間>を設けて、さらに研鑽を重ねます。
定期的な系統講義、勉強会、journal club、専門医試験に向けての
強化セミナーなど更なる知識向上を実行しています。

詳しくみる